新型コロナウイルス感染防止措置による学校の臨時休業により、オンライン授業の取り組みが各地で進んでいます。
授業手法の多様性が増えることはとても良いことだと思います。
同時に、
学習者の立場から考える「学習方法」
教育課程と学習活動を提供する"学校"として求められる機能の一つである「評価」
これらの多様性についても検討を進め、柔軟に対応することができれば、
その先に様々なプラスの面が期待できるかもしれません。
今年度、弊社が提供する「ICT×学習デザイン研修」で使用予定の「デジタル・タキソノミー・テーブル」の活用も踏まえて、提案できればと思います。
※最後に、「デジタル・タキソノミー・テーブル」のダウンロードリンクを用意しています。
休校や分散登校び再開や継続が生じた場合、オンライン授業の導入や、従来の授業との併用など、これまでと異なる学習活動のデザインが必要になるでしょう。
その根幹は
「学習方法の多様性」
「評価方法の多様性」
の確保であり、
それぞれに応じた「準備」が必要となります。
今回、新型コロナウイルスという外的要因により、授業や学校の在り方が揺すぶられるような事態が生じています。
この状況をプラスに捉えて、
未曾有の課題を解決するための資質能力の育成
という、実は新学習指導要領が示している学びの実現を加速するための好機、と考えることもできるのではないでしょうか。
弊社では、ここ数年「改訂版タキソノミー」の考えに基づく授業改善の支援を行っています。
今年度は、さらに「ICTの効用」と「評価」にスポットを当てた
「デジタル・タキソノミー」
の考え方を明確にし、
単元における「学習プロセス」と「評価」の整理・検討をすすめる枠組みを共有しながら、オンライン学習の課題解決も含む、新たな教育実践の創出をサポートします。
大まかな流れ
(1)各単元における「学習目標」と評価規(基)準、評価の方法を点検
○従来の学習活動、評価規(基)準、手立て、などの分析
○定期考査等、試験問題の分析
(2)単元の流れ(学習プロセス)をデザイン
○タキソノミー・テーブルの作成をスタート
(3)学習者の動詞(デジタルデバイスやクラウド等ICTを活用した場合の)を検討
○デジタル・タキソノミー(ICT活用の方法・場面・効果)による整理
(4)評価規(基)準と評価方法について検討
○観点別評価について整理する:規(基)準、方法、タイミング、など
・評価の機会や意味合いの整理(診断的評価、形成的評価、総括的評価、など)
・評価手法の整理(記憶想起型、文章記述、パフォーマンス課題、など)
・紙ベースのテスト→Webベースへの移行、併用を検討
・課題提出→手書き、端末入力、撮影した画像で提出、など多様性の許容と確保
○公正な評価のための「本人性の担保」「カンニング・剽窃等の防止」を検討
・個人毎のアカウント発行(共用アカウントの廃止を含む)
・認証(2要素認証など、成りすまし防止の手立て)
・カンニングや剽窃が難しい課題の用意
・学習内容の要約や、自身の考えを表現する内容などの記述系課題
・剽窃チェックを明示(例:剽窃チェッカー )
・パフォーマンス課題における実演画像や動画の提出
(5)実現可能性の検討
○実施可能な方法、機会の選定
・定期考査など、従来の評価が困難である場合を想定
・評価に必要な課題、問題の準備(自作、購入、など)
※著作権処理についても確認
・採点等の手間の検討
※Webテストでの自動採点・解説による合理化
Google Classroom Googleフォーム Microsoft Teams AI型教材 など
※教員による採点・コメント等の併用など
※評価過多による計画倒れを回避
「学習方法の多様性」
「評価方法の多様性」
これらの整理や検討、新たな取り組みは、様々な利点をもたらしてくれるのではないでしょうか。
例えば、
端末のOSを問わず、今ある環境(スマホなど)で対応が可能であることを発見したり、
そのことを校内に限らず保護者と共有できるかもしれません。
場所や時間を問わず、個々に応じた学びの継続を支援することに繋がるでしょう。
主体的な学びを通した、自立的な学習者としての資質・能力の涵養が期待できるかもしれません。
さらに、
紙ベースの学習や評価の課題の再確認(知識量の評価に傾きやすい、書くことの困難さへの対応が難しい、など)、
知識活用機会の創出、
課題解決や探究的な学習に向かうための教材や授業研究の深まり、
授業や単元デザインの変化など、
教員の資質・能力の変容、向上、発展なども期待できるかもしれません。
全員登校が可能な状況となっても、失せるものではありません。
怪我や、肢体や認知の特性等で文字を書くことが困難な学習者
諸事情で登校できない学習者など、
置き去りになりやすかった学習者にも、学習しやすい多様な機会を提供できるでしょう。
そして、
学習目標の到達度を公正に評価することにより、修了を証する。
という、 教職免許を持つ専門人材が集う教育機関である学校が、その機能を持続させることにも繋がるのではないでしょうか。
様々な部分で急激な変化を強いられる状況ですが、
その取り組みが霧散せず、有意義な形で活かさ続けるものであるように、願っています。