Digital Taxonomy Verbs を用いた単元設計とICT活用研修(第1回)

1人一台の学習者用端末の導入など、ICT環境整備を進めている修道中学校・修道高等学校。

ICTを効果的に活用するための学習デザインに関する研修を担当させていただくことになりました。

5月〜10月まで、半年にわたる研修です。

学習活動(学習目標)の再検討に始まり、

単元設計(デザイン)〜授業設計(デザイン)〜実装(授業実践)〜振り返り(リフレクション)

という過程で進む予定です。

教科内での検討から、教科を超えた知見の共有を通して、様々な教科における学習過程の改善とICTの効果的な活用を目指しています。

 

これまで遭遇した「ICT環境を整備しても十分に活用できない」という数多くの事例から見えてきたのは、「ICTありきの授業づくりの限界」「目的と手段の混同」でした。

「学習者の主体的な活動から単元や授業を設計」→「それを促すために、または発展させるためにICTを取り入れる」という「目的と手段の問い直し」が必要だと考えています。

同時に「授業改善を具体的に進めるための"共有可能な考え方"」についても提案が必要です。

ここ数年、様々な方法について検討を重ねるなかで、先生向けの研修内容を再構築しました。

 

〜「新学習指導要領に対応する"共有可能な考え方"」の提案〜

第1回目は、学習活動(学習目標)の再検討と単元設計のために、先生方に共通で利用していただくフレーム

「タキソノミー・テーブル(タキソノミー改訂版)」+「Bloom's Digital Taxonomy Verbs」

を提案しました。

冒頭では、新学習指導要領が目指す

「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」

「過程を重視した学習の充実」

これらの背景に、タキソノミーが置かれているであろうことを解説。

その後、
ブルームのタキソノミー(教育目標分類額)の改訂版(2001、アンダーソン等)で提案された認知過程次元と、これに対応するVerbs「学習活動の動詞」に、ICTを活用した場合のVerbs「デジタル活動の動詞」が加えられた Digital Taxonomy Verbs の日本語訳を紹介。

併せて、教科別のタキソノミー・テーブル例を提示。

これらの材料をベースに

「今後進めていく単元の中で、学習者(生徒)がどのように活動できるだろう?」

「その学習活動は、Digital Taxonomy Verbs のどこにあたるだろう?」

「認知過程次元(1:記憶・想起、2:理解、3:応用、4:分析、5:評価、6:創造)のどこに適合するか?」

「単元の進行はどうなるだろう?」

同じ教科の先生同士でディスカッションしながら、深く検討していただきました。

開始早々に

「従来の単元進行では、2:理解の段階までしか到達していないのではないか?」

という課題に気づいた教科もありました。(こうした気づきを共有できることも大切ですね)

理解した知識を応用し、分析・評価にすすむ流れや、生徒の姿をイメージしながら、単元設計(デザイン)を進めていただきました。

 

次回以降は、単元設計(デザイン)の細部の検討に入る予定です。

具体的なICT機器やソフトの活用について、「単元設計・学習活動・評価」を関連付けた検討が深まっていくように、研修内容をデザインしたいと思います。